介護業界で働く前に読むブログ

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老人ホームは色んな種類があって困ります2【民間編】

民間の老人ホーム

老人ホームの種類を紹介する記事の続きになります。

前回に続き、パート2の【民間編】です。これもまた、かなりややこしいので出来るだけ簡潔に書いていきたいと思います。

 

前回の老人ホームと違い、民間の場合は月々にかかる食費や光熱費とは別に、入居金を収める形式がほとんどです。

金額はピンキリで、それこそ0円を売りに入居者を集める会社もあれば、まずは1億円を払って話はそれからの超高級な老人ホームも存在します。

 

下記の老人ホームも種類とは別に、グレードが千差万別なので大金がないと老人ホームに入れないってことはないです。

ただ、満足な介護が受けられるかどうかは別の話ですが。

1、介護付き 有料老人ホーム

もっともポピュラーな民間の老人ホーム。【公共編】でご紹介した「特養」が高齢者で溢れかえり、順番待ちとなっている状態なので、その主な受け皿となっているのがココです。

 

入居条件としては、介護保険が使える65歳以上。老人ホーム的に受け入れ可能なら、介護度がどんなに高くてもOKです。

老人ホームによっては、介護を必要としない高齢者の受け入れも可能だったりします。将来何かあった時のためにとか、高齢者の一人暮らしは心配なので、といった理由で入居する人や、夫婦の片方が要介護状態なために一緒に入る、といったケースもあります。

更にいえば自立型、介護専用型、混合型と3つに分けられ、目的にあった形でそれぞれの入居や運営が行われています。

2、住宅型 有料老人ホーム

上記の老人ホームに次いで、二番目にポピュラーな老人ホーム。

同じく65歳以上が対象。介護を必要としない高齢者も入れ、更にはどんなに介護度が高くても受け入れOK。一見して、見た目は「介護付き 有料老人ホーム」となんら変わらないです。

一番の違いは、最初は介護が付いていなくて、必要になったとき初めて外の業者と契約を結んで、ヘルパーさんに来てもらうといった部分です。

「なんでそんな面倒臭いことわざわざしなきゃいけないの?」

「初めっから介護付けちゃダメなの?」

って思いますよね。

 

理由があるんです。

最初の「介護付き 有料老人ホーム」は総量規制っていう、数の制限があるんです。

どういう事かというと、まず公共編で紹介した老人ホームが高齢者で溢れかえっています。それを受け止めるために、民間の老人ホームができた訳ですが一定のクオリティーを保たなきゃいけないので、様々な条件があるんです。職員は何人以上で、生活相談員を置いて、機能訓練指導員を置いて、食堂があって、浴室があって、機能訓練室が、、、などなど。

それら膨大な条件をクリアして初めて、特定施設という指定を行政からもらえるんです。

んで、監督・管理するのがその都道府県とかなんですが、ハッキリ言って面倒くさいんですよ。数が多くなると予算もかさむし、面倒見るのが大変だし。ぶっちゃけ増やしたくないんでしょう。

だから数の制限をしているんです。

 

それに比べ、この住宅型ってやつは建てる条件が緩い。

何てったって、ただの住宅ですから。高齢者向けのマンションとでもイメージしてもらえれば分かりやすいでしょう。そのため、いまでは住宅型のほうが数では倍以上、既にこの世の中に存在しています。

 

実際、私が働いているのもここ。

一応、外部の業者ってことで各部屋に出入りしている訳ですが、介護してるのも、ケアプランを立てているのも、建物を作っているのですら同じ会社です。訪問する部屋の一階に、介護サービスをする事務所が入っているんですよ。なんら変わりないでしょ。

 

別に違法でもなんでもないので、行政に届け出さえしていればOKなんですが、書類とか伝票とか用意するのが毎回、超メンドーです。

だって扱いは訪問介護員ですから、毎回、入浴介助や食事介助する度に、介護伝票の発行と本人のサインが必要になってきます。

上司とかが入居や契約、または更新のたびにヒーヒー言って、説明義務を果たしたり、まるでポケモンスタンプラリーの様にハンコをもらいに行ったりしています。

3、サービス付き高齢者住宅

上記2つの老人ホームの賃貸版です。

上の2つが入居にあたり、入居金として多額のお金を必要とするのに対して、初期費用が少ないのが一般的です。建物がバリアフリー構造になっており、分かりやすくいえば高齢者向けのアパートのようなものです。

サービス付きとは歌っていますが、たいしたサービスは付いていません。安否確認のためのモーニングコールや、食堂が一階に併設してあるとか、そんなもんです。

 

そもそもが、重い介護度の高齢者を想定していないため、状態が悪化すると、場合によっては退去させられることもあり得ます。もし介護が必要になったら、外部の介護サービス業者と契約を結んで、ヘルパーさんに来てもらうことになります。

またレクリエーションなどの入居者同士が集まる機会がないため、隣近所との交流にはとぼしいです。

ただ実際のところ、こちらも最近は介護度の重い高齢者を受け入れるようになってきているみたいです。私が働いているところと同じように、介護サービス業者が一階に併設している住宅も増えてきているようです。

日本中、どこも老人でいっぱいなんです。

4、グループホーム

日本語で正しく言うと「認知症対応型 老人共同生活援助施設」です。

分かりやすく翻訳すると、認知症の面倒をまとめて見る家。

要支援2以上が入居できます。

 

1ユニット9人で共に生活をし、掃除や料理を介護士と一緒にしつつ、自立できるように暮らすのが目的です。

なぜ9人かというと、認知症の人はあまり多くの人数を一度に覚えることができないため、顔見知りは少ないほうが混乱を招かないといった理由です。

また、グループホームは地域密着型サービスというジモティーのための老人ホームなので、もともと小規模を前提としています。

 

一方で、働く側からして見ると、夜勤などは一人で2ユニット18人を看なければいけない現場もあるみたいです。18人がよく寝てくれて、たまに巡視するぐらいなら楽な仕事でしょうが、そこはやはり介護業界。

昼夜逆転している話の通じない高齢者の相手を、まともに休憩も取れない状態で一晩するのは地獄だと思います。

グループホームはどこも小規模なため、社員として勤務している人は少ないみたいです。パートやアルバイトが主で、そんな彼ら彼女らに夜勤業務を担ってもらうのは、酷としか言いようがありません。

 

今後、政府は高齢化社会に向けて更に増やしていく方針みたいですが、現場が疲弊していて、綱渡り状態で運営しているようでは、うまくいくとは思えません。

おわりに

以上、民間が運営している老人ホームでした。

実際に内部見学や建物なんか見たとしても、多分どれがどれか分からない所が多いと思います。これらはあくまでも、行政上の仕分け的な要素が強いです。

 

特に今の時代、どの施設も高齢者で溢れています。本来はたいして世話のかからない高齢者の入居を想定していた施設まで、重い介護度の人を受け入れなければならない状態になっています。

そのうえ箱だけ作っても、実際、中で働く人がいないとった所がほとんどだと思います。

日々の業務に忙殺されて、どこで働いているかなんて意識していないのが普通なんじゃないでしょうか。

 

以上です、終わり。